食文化は人々が暮らしてきた日常の生活の上に築き上げてこられました。
今から遡ること約300年前、江戸時代の頃にはクジラ漁がすでに盛んに行われていました。
そのためクジラの身体の部位について、独特の呼び名が存在していますし、いろんな食べ方が確立されています。
くじらの各部位の名称と意味
代表的なものを頭部の方から尾にかけて6つ紹介します。
「さえずり」はくじらの舌を意味していますが、脂を抽出した後のものをこう呼びます。
くじらのアゴ骨のあたりの部分は、「鹿の子」と呼ばれています。
肉質は硬く、脂肪の中に肉が混じった状態です。
背中の皮は本皮と言いますが、この下に見られる皮下脂肪を「コロ」と言います。
実は皮下脂肪を鯨油で揚げてから絞り、乾燥させた加工品です。
腹部は畑の畝のように見えることから「うね」と呼ばれています。
「オバケ(尾羽毛)」と呼ばれているのは、尾部になります。
その背中側にあたる肉は「尾の身」と称され、脂が乗っていて柔らかい特徴があります。
現在食すことができるのは、ニタリクジラとミンククジラの尾の身だけです。
コロってどんな利用法があるの?
コロは質の違いによって「コロ上」、「コロ並」と振り分けられることもあります。
コロ上は、コロ並よりもモッチリとしていて脂が乗っているところが異なるそうです。
通常売られているものは乾燥した状態ですので、どちらも使う際には下処理が必要になってきます。
まず、ボールに水を入れそこへコロを一晩浸けてください。
翌日、すりおろした生姜やニンニクを入れて沸騰した鍋の中でコトコト半時間ほど煮ていきます。
それから、冷水に移して丁寧に洗い流して、下処理は終わりです。
おでんや煮物などの煮込み料理などとの相性がいいと言われています。
コロ自体にあまりクセがないため、出汁を吸って旨味を閉じ込めた食感を楽しむことができます。
まとめ
日本においてクジラに関する食文化があることは知っていましたが、これほどまでとは思っていませんでした。
頭から尻尾まで余すところなく、無駄にせず食す、先人たちの動物に対する深い思いが伝わってくるようです。
けっこういい値段がしますので、何かの機会で食べることがあれば思い出してみてくださいね。