クジラの口と言えば、どんな形を想像されますか?
クジラと言われて頭に浮かぶクジラは何クジラでしょうか。
クジラにも色々な種類がいますが、中にはアーチ状の口をしているクジラがいます。
この記事では、そんなアーチ状の口を持つセミクジラについてまとめています。
セミクジラの口がアーチ状?
アーチ状とは、緩やかな半円を描いたような形、虹だとか弓なりの形のことを言います。
たとえばクジラの中でも有名なシロナガスクジラの口は、口の端が緩やかな「へ」の字のようになっているものの、閉じている時の状態は人間の口のようにほぼ水平な形です。
イルカやシャチなども、クジラの仲間ですが水平です。
しかし、セミクジラの口は正面から見ると、口の端2点から上顎の真ん中を頂点とした三角に近い形の上に緩やかに描かれたアーチ状、射手座のキャラが持っていそうな弓のような形になっています。
アーチ状の口をしたクジラの食事方法
セミクジラの他に、同じセミ科のホッキョククジラも口がアーチ状です。
口の形が水平なクジラとアーチ状の形をしたクジラでは、体に違いが見られ、食事方法も違います。
口が水平な形のクジラ
・体の下面、喉から腹部に畝(うね)とよばれるひだのような縞々がある。
・食事方法は、呑み込み型。
口がアーチ状の形のクジラ
・体の下面に畝が無い。
・食事方法は、濾し取り型。
濾し取り型の食事方法とは?
セミクジラとホッキョククジラの行う濾し取り型の食事方法は、口をあーんと開けたまま海の表層を泳ぎまわって餌を獲る方法です。
上下が逆になりますが、水の中をザルでさらうとか、たものような網で海水を探るような感じです。
セミクジラの上顎には数百枚も薄く細長いヒゲ板というものがずらりと櫛状に並んでいます。
そのヒゲ板の内側の先端はブラシのように毛羽立っているので、海水を口に入れるとオキアミやプランクトンがひっかかり、海水は外へ流れ出ていきます。
セミクジラが食事の時に、あーんと口を開けると開口部の上下は3mにもなり、ヒゲ板も長いものは3m近くあります。
セミクジラのアーチ状の口は、この濾し取り型の食事に適しているようです。
対して、シロナガスクジラなどの行う呑み込み型の食事方法は、一旦、餌ごと海水を腹いっぱいに呑み込んでから、口を閉じ気味にして海水のみを外に出す方法です。
濾し取り型の食事をするクジラよりもヒゲ板に水圧がかかるので、付け根が太く短いヒゲ板です。
また、海水をいっぱい体内に入れられるように喉から腹部の畝が、びよんとアコーディオンのように伸びます。
まとめ
セミクジラの特徴的なアーチ状の口は、食事方法を知ると理にかなった形のように思われます。
しかし、セミクジラは乱獲によって数が激減し、現在では絶滅危惧種として世界的に捕獲が禁止されています。
現在の個体数が少ないことから詳細な生態などは解明されていないそうです。