日本には、江戸時代においては盛んに捕鯨が行われていた歴史があります。
「鯨1匹捕れば七浦潤う」とまで言われるほど、それほど大きな経済的な価値のあるものでした。
しかも、鯨は捨てるところがないと言われており、骨や内臓までもあるものに加工して二次利用していました。
鯨の脂肪や骨から精製される油は?
大きく分けて2つ、ハクジラから採れるマッコウ油とヒゲクジラから採れるナガス油です。
マッコウ油はヒトが消化できない成分を含むために、主に工業用として利用されてきました。
石鹸の原料として、皮革製品を作る工程においても多く使われていたことがあります。
ナガス油は、食用としても広く利用されていました。
第二次世界大戦後は、マーガリンやショートニングの原料として用いられてきました。
鯨油の作り方は、次に示す通りです。
皮下脂肪、骨、内蔵などを細かく刻んで大きな釜で煮て、溶けだした油分を採取する方法で作られていました。
捕鯨に反対をしている欧米諸国もかつては、鯨油を採取するために捕鯨を行っていた歴史があります。
特殊な「油」は?
マッコウクジラの頭部の中にある油脂は「鯨蝋(げいろう)」と呼ばれています。
見た目は白濁しており、ヒトの精液に似ているため英語では「sperm whale(精液鯨)」と呼ばれています。
温度変化による状態の変動があり、マッコウクジラはこれを遊泳時の浮き沈みに利用しています。
鯨蝋は、ロウソクや精密機械の潤滑油の原料としてよく用いられてきました。
口にすると消化不良を起こしてしまいますので、食用として利用することはできない油です。
「肝油」と言って、その名の通り肝臓から採れる油脂で、ビタミン類を多く含んでいるため、サプリメントとして利用されています。
まとめ
鯨油の存在をかつて耳にしたことはありますが、まさかこんなにも多彩な使い道があるとは思いもしませんでした。
エコな暮らしが注目を集めて久しいですが、昔の人々は早くから循環型の社会を目指していたように思いました。
食べ物を食べる際は、目の前のものだけではなくその裏にあるものをしっかりと見つめていく必要性を強く感じました。