子供のころにはよく食べたくじら料理、最近はなんだか高級料理の仲間入りでほとんど口に入ることはなくなったけど、食文化を守っていくことはできるのでしょうか。
日本人とくじら
くじらを乱獲し絶滅の危機に追いやったのは、いま捕鯨をいししているIWC加盟国のうちの39か国ではなくて、それ以外の欧米の国々じゃないかと思っています。
1800年代の乱獲によって大型のくじら―シロナガスクジラやミンククジラなど―が絶滅の危機に瀕しました。
食文化による捕鯨ではなく油(鯨油)をとるための捕鯨、だから大量に捕獲が必要でした。
日本の捕鯨は食文化がもとにあるから乱獲はしていません。
食文化がもとであるから歴史は古いのです。
5000年前の遺跡からイルカの骨が出てきたり、4000年前の遺跡からはくじらの骨を製造台にして作った土器が発見されています。
古い時代から生活に密着していたことがわかります。
長い歴史の中で捕鯨を通じて信仰や、唄・踊り・伝統工芸など多くのくじら文化が伝承されて、日本の食文化と捕鯨とが結びついている証ではないでしょうか。
くじらの生息数と推計
現在確認されているくじらの種類は84種、大きく分けるとヒゲクジラ類14種とハククジラ類70種の二つの分類されます。
大きさで4メートル以下の小型のものは「イルカ」と呼ばれます。
くじらの生息数の観測には、標識放流法―標識をつけて放した個体が次に捕まる割合から頭数・生存率を推定する方法―や、陸地、船上から頭数をカウントし推定する方法など行われています。
北太平洋では、近代捕鯨が開始される前、1900年代はじめのザトウクジラの生息数は10,000頭や15,000頭で、西部北太平洋だけでも2,500頭といわれていました。
ところが、捕獲が禁止になる前年の1965年頃には、この数は1,000頭にまで減っていたと推定されています。
種類によって生息数は違いますが、現在IWCで出している推定生息数では、捕獲量の割り当てなど完全に保護されており、絶滅の危機にはありません。
また、ミンククジラやニタリクジラ、マッコウクジラのように、資源状態のよい、生息数の増えたクジラもいます。
古い時代から捕鯨を行ってきた地域では日本政府の管理のもとで、IWCの規制にかからないツチクジラ、ゴンドウクジラ類に限って捕獲を行っています。
沿岸での小型捕鯨の年間の捕獲量(平成26年度)はツチクジラ66頭、タッパナガ36頭、マゴンドウ36頭、オキゴンドウ20頭程度と厳しく管理されています。
まとめ
先史時代から現在に至るまで、日本人はクジラとともに生きてきました。
日本の長い歴史の中で、捕鯨を通じて信仰が生まれ、また唄や踊り、伝統工芸など多くの捕鯨文化が実を結び、伝承されてきています。
これこそ、日本人がクジラとともに歩んできた歴史の証ではないでしょうか。
今、日本が誇るこの捕鯨の伝統と食文化の大切さを再認識する時代にきています。