古の人たちのように「くじら」をもっと身近に感じよう。
くじらの分類名
くじらを見かけで大きく分類すると、「ヒゲクジラ」と「ハククジラ」にふた通りに分けることができるようです。
「ヒゲクジラ」はその名の通り口の中にひげがあるクジラ。
人間のようなひげではなく「くじらひげ」と呼ばれる三角板状のろか板(200~300)が口の中に生えています。
このタイプのくじらのエサは、オキアミと呼ばれるプランクトンや小魚です。
でも、体長が26メートルを超えるような大きな種類のくじらが多くいます。
くじらの王様シロナガスクジラもこの種類です。
「ハクジラ」とは、名前の通り人間と同じように口の中に歯がある種類のくじらです。
この歯を使ってエサとなるイカや魚を取って丸のみにして食べています。
代表的なくじらとしてマッコウクジラが知られています。
体調が4~5メートル以下のイルカと呼ばれるくじらも「ハクジラ」の仲間です。
「くじら」という名前の由来
漢字で「魚偏」に「京」と書いて「鯨(くじら)」と読みます。
「京」という字には「高い丘」という意味があり、「大きい」を表す記号の一つでもあったことから「大きくて丘のような魚」という意味でつけられたのでしょう。
「くじら」という読みは、「くちひろ」が変化したものという説があります。
また、古代朝鮮語の「く」「しし」「ら」が詰まって「くじら」となったともいわれています。
もう一つ別に、万葉の時代から「いさな」という呼び方があるようです。
「勇魚」という字をあて『万葉集』にも「いさなとり」が海に関係する枕詞として使われています。
「いさな」も古代朝鮮語で「大きな魚」の意味があるといわれています。
江戸時代の学者、新井白石によると、古語で黒語を「ク」、白色を「シラ」といい、繋げた「黒白」は「くしら」で、それがなまって「くじら」と呼ぶようになったといいます。
どれが正しい説かわかりませんが、くじらが私たちの生活の身近にいたことは確かなことのようです。
まとめ
江戸時代後期に出された「鯨肉調味方」と言う料理本には、クジラのからだを見事70にも分類し、それぞれの料理方が克明に紹介されています。
肉や皮、舌、内臓ばかりでなく、顎から歯ぐき、など食の本場、中国をしのぐ徹底ぶりです。
食べられないところは、骨と歯とヒゲだけです。
わが国はクジラを余すところなく利用してきています。
鯨肉と軟骨は食用に、ヒゲと歯は櫛などの手工芸品に、毛は網に、皮は膠に、血は薬に、脂肪は鯨油に、採油後の骨は砕いて肥料などです。
日本人の生活とともにあった「クジラ」。
くじらという名前も古い言葉が変化した言葉なんでしょう。
大事にしていきたいものです。